1月に読んだ本
月単位くらいで記録を残しておきたい.
- 田中拓郎『形式意味論入門』開拓社,2016年.
- 三浦篤『まなざしのレッスン 1 西洋伝統絵画』東京大学出版会,2001年.
- 歴史画からの分化という歴史的過程に沿って,18世紀までの様々なジャンルの伝統絵画の見方を実践的に示す教科書.借りて読んだけれども手元に置いておきたい本.
- ウェルナー・マルクス『アリストテレス「存在論」への導き』東北大学出版会,2020年.
- ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ『ポルノグラフィア』河出書房新社,1989年.
- 1943年のポーランドを舞台に,二人の中年 (語り手ゴンブロヴィッチと,フレデリクという男) が旅先で知り合った一組のうら若い男女 (ヘニアとカロル) を何とかしてくっつけようとするという筋書き.語り手は互いに好意を表しているわけでもないカップルに奇妙な結びつきを見出し,自覚的に偏執的な文体でその描写を連ねる.やがてフレデリクがこの妄想を具体的な策謀へと仕立て上げる.話が進むにつれて語り手の過剰とも思える意味づけ通りに出来事が成就してゆき,カロルによるヘニアの許嫁の殺害によって物語は幕切れとなる.――とまとめると陰惨な感じもするが (そして実際明るい話ではないけれども),読み終えてみるとそれほど後味の悪い小説ではなく,むしろ不思議な爽快感すら残る読書だった.2003年に映画化されているらしく,どんな映像になっているのか興味がある.