SEP「論理的帰結」Jc Beall and Greg Restall, "Logical Consequence"

  • Jc Beall and Greg Restall, “Logical Consequence”, The Stanford Encyclopedia of Philosophy (Winter 2016 Edition), Edward N. Zalta (ed.).

帰結概念は必然的かつ形式的であり,そのことは証明もしくはモデルを用いて説明される。本記事で触れるのは,論理的帰結に関する,中心的・基本的な哲学的問題のみである。

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『トピカ』のイデア論批判はフェアーか Owen, "Dialectic and Eristic in the Treatment of the Forms"

  • G. E. L. Owen (1968) "Dialectic and Eristic in the Treatment of the Forms" in G. E. L. Owen (ed.) Aristotle on Dialectic: The Topics. Proceedings of the Third Symposium Aristotelicum. Oxford: Clarendon Press. 103-125.

『トピカ』におけるアリストテレスプラトン批判の哲学的内実を考察する論文。従って取り上げる箇所は同シンポジウムのド・フォーゲルの論文とほぼ同じ (但しオーウェンはソフィスティキ・エレンキも見ている)。議論は分析的で論点の選び方からはヴラストスの「第三人間論」論文の余波も感じられる。

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Primavesi, Die Aristotelische Topik #1

  • Oliver Primavesi (1996) Die Aristotelische Topik: Ein Interpretationsmodell und seine Erprobung am Beispiel von Topik B. München: C.H.Beck. 17-28.

トピカ研究書の序論を読む。『アリストテレスのトピカ: 解釈モデルと『トピカ』B巻の実例によるその試行』という表題が示唆するように,本書は解釈モデルを (特にA, Θ巻に依拠して) 組み立てる部門と,B巻の個別トポスについてモデルを実証する部門とに分かれる。「訓練」という目的の強調は目を引くが,基本的には堅実な指針が打ち出されていると思われる。

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『トピカ』と未完成のアリストテレス主義 De Vogel, "Aristotle's Attitude to Plato and the Theory of Ideas According to the Topics"

  • C. J. De Vogel (1968) "Aristotle's Attitude to Plato and the Theory of Ideas According to the Topics" in G. E. L. Owen (ed.) Aristotle on Dialectic: The Topics. Proceedings of the Third Symposium Aristotelicum. Oxford: Clarendon Press. 91-101.

『トピカ』でプラトン主義的議論が言及されている箇所を枚挙し,当時のアリストテレスプラトンとの距離を探る論文。いくつかの箇所では批判的であり,また相容れない前提を用いているが,特に倫理的議論においてはプラトン主義な箇所もあり,立場が定まっていない,と結論する。

データがまとまっていて勉強になった。以下の要約では詳述していないが,ソフィストの影響が見られるという指摘は興味深い。

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プラトンの分割法とアリストテレスの問答法 Solmsen, "Dialectic without the Forms"

  • Friedrich Solmsen, "Dialectic without the Forms" in G. E. L. Owen (ed.) Aristotle on Dialectic: The Topics. Proceedings of the Third Symposium Aristotelicum. Oxford: Clarendon Press. 49-68.

以下のことが主張される。

  1. 問答法はプラトン哲学の核心だが,アリストテレス哲学においては降格されている。(pp.49-55, 65-68)
  2. アリストテレスの問答法は,プラトンの分割法の存在論的・形而上学的含意を捨象し,論理学的方法のみを取り出したものである。(pp.55-65)

あまり読みこなせなかった。比較対象であるプラトンのとりわけ後期対話篇の知識が不足している。納富『ソフィストと哲学者の間』を読んでから出直すこと。

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アカデメイアのディアレクティケー実践 Ryle, "Dialectic in the Academy"

  • Gilbert Ryle (1968) "Dialectic in the Academy" in G. E. L. Owen (ed.) Aristotle on Dialectic: The Topics. Proceedings of the Third Symposium Aristotelicum. Oxford: Clarendon Press.

主な主張は次の2つ。

  1. プラトンアカデメイアで問答法を (したがって哲学を,少なくともアリストテレスが生徒であった頃には) 教えていない。アリストテレスが初めて体系化し,教え始めた。
  2. 年長者の間で問答法実践は行われており,特に競技的な論争を通じて論証が蓄積された。

どちらもかなり挑発的に見える。さしあたり廣川『プラトンの学園』を確認する必要がある。(I)『ポリテイア』7巻のソクラテスの議論を文字通りにプラトンの意見として取って良いのか,(II) 3節後半の描像はどの程度尤もらしいか,(III) 4節の議論はどうか,はかなり検討の余地があるだろう。また (I) に関連する5節の結論が宙吊りになっているのも少し落ち着かない。

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