2月に読んだ本
- 池澤夏樹 (1990)『夏の朝の成層圏』中公文庫.
- 著者の小説を読むのは『スティル・ライフ』『マシアス・ギリの失脚』につづいて三作目だと思う.南洋の無人島に漂着した主人公が,孤独で素朴な生活を経て,文明的生活とふたたび邂逅するまでを瑞々しい筆致で描く.脱文明への憧憬をひとつの主題とする漂流記ではあるが,野生と文明の二項対立は設定のうえでも語りにおいても必ずしも先鋭化されず,むしろ両者のあわいに立ちつくす主人公のありさまが巧みに表現されている.
- Christian W. McMillen (2016) Pandemics: A Very Short Introduction, Oxford UP.
- 柴田三千雄 (2006)『フランス史10講』岩波新書.
- 植村玄輝ほか (2017)『現代現象学: 経験から始める哲学入門』新曜社.