Sph. 244d14-245e15.
客人 ではどうだろう.全体は〈あるもの〉という一つのものと異なる,と彼らは主張するだろうか,それともそれと同一のものだと主張するだろうか.
テアイテトス どうして同じではないと主張することがありましょうか,また現に主張しているでしょうか.
客人 それゆえ,もし全体であるなら,ちょうどパルメニデスも語るように,
どの側からも丸い球体に似て,
中心からあらゆる方向に等しい.どこかが大きくあっても
小さくあってもならないからだ,ここやかしこで.
〈あるもの〉がそうしたものであるなら,中心と端を持つのであり,それらを持つなら,全く必然的に,部分をもつのだ.そうではないか.
テアイテトス その通りです.
客人 だが実際,一方では,分割されたものが全部分について一つのものの状態を持つことは,何ものも妨げない.そして事実そのような仕方で,全てが〈あるもの〉であり,全体が一つであるのだ.
テアイテトス どうしてそうでないことがあるでしょうか.
客人 他方で,これらのことを被っているものが,それ自体一そのものであることは不可能ではないだろうか.
テアイテトス どうしてですか.
客人 思うに,本当に一つであるものは,正しい言論に即するなら,全く部分を持たないものだと言われねばならない.
テアイテトス そうでなければなりませんとも.
客人 多くの部分からなるこうした〈あるもの〉は,この言論に合致しないだろう.
テアイテトス わかりました.
客人 では,〈あるもの〉は一つであるという状態を持つことで,そのように一つでありかつ全体であるのだろうか.それとも〈あるもの〉は全くもって全体でありはしないと言うべきだろうか.
テアイテトス 難しい選択を提出されましたね.
客人 いや,まさしく君が言う通りなのだ.というのも,〈あるもの〉が何らか一つであるという状態を被っていながら,一と同じではないことは明らかであり,ゆえにまた,万物は一つより多くのものであるだろう.
テアイテトス ええ.
客人 そしてまた,もし〈あるもの〉がそれによる状態を被ることを通じて全体でありはせず,他方で全体そのものではあるなら,〈あるもの〉が自分自身を欠いていることが帰結する.
テアイテトス もちろん.
客人 そしてこの言論に従えば,〈あるもの〉は自分自身を奪われ,〈ありはしないもの〉になるだろう.
テアイテトス そのとおりです.
客人 そして一方で,万物が一つより多くなる.〈あるもの〉と〈全体〉が独立に,各々に固有の本性を持っていることになるから.
テアイテトス ええ.
客人 だが,全体が全くもってありはしないなら,同じそのことが〈あるもの〉にも属し,また,ありはしないということも,〈あるもの〉になることにも属するだろう.
テアイテトス なぜですか.
客人 なるものはつねに全体になっている.したがって,全体を〈あるもの〉どものうちに措定しないなら,真実在も生成も〈あるもの〉として呼ぶべきではない.
テアイテトス それらは全くもってそうであるように見えます.
客人 さらにまた,全体でないものはどんな量のものでもありはしない.というのも,何らかの量であるなら,どれだけであるにせよ,それがそれだけある全体であることは必然であるから.
テアイテトス まさしく.
客人 そして,他の無数の事柄についても,各々が限りないアポリアを抱えていることは明らかだ,〈あるもの〉が二つの何かであるとか,あるいは一つだけであるとか語る人々にとっては.
テアイテトス いま垣間見られたことどもも,そのことをおおよそ明らかにしています.あるものが別のものからつながっているのですから,先に述べられたことに関して,つねにより大きくより困難な迷いをもたらしながら.
Ξένος τί δέ; τὸ ὅλον ἕτερον τοῦ ὄντος ἑνὸς ἢ ταὐτὸν φήσουσι τούτῳ;
Θεαίτητος πῶς γὰρ οὐ φήσουσί τε καὶ φασίν;
Ξένος εἰ τοίνυν ὅλον ἐστίν, ὥσπερ καὶ Παρμενίδης λέγει,
πάντοθεν εὐκύκλου σφαίρης ἐναλίγκιον ὄγκῳ,
μεσσόθεν ἰσοπαλὲς πάντῃ: τὸ γὰρ οὔτε τι μεῖζον
οὔτε τι βαιότερον πελέναι χρεόν ἐστι τῇ ἢ τῇ,
τοιοῦτόν γε ὂν τὸ ὂν μέσον τε καὶ ἔσχατα ἔχει, ταῦτα δὲ ἔχον πᾶσα ἀνάγκη μέρη ἔχειν: ἢ πῶς;
Θεαίτητος οὕτως.
Ξένος ἀλλὰ μὴν τό γε μεμερισμένον πάθος μὲν τοῦ ἑνὸς ἔχειν ἐπὶ τοῖς μέρεσι πᾶσιν οὐδὲν ἀποκωλύει, καὶ ταύτῃ δὴ πᾶν τε ὂν καὶ ὅλον ἓν εἶναι.
Θεαίτητος τί δ᾽ οὔ;
Ξένος τὸ δὲ πεπονθὸς ταῦτα ἆρ᾽ οὐκ ἀδύνατον αὐτό γε τὸ ἓν αὐτὸ εἶναι;
Θεαίτητος πῶς;
Ξένος ἀμερὲς δήπου δεῖ παντελῶς τό γε ἀληθῶς ἓν κατὰ τὸν ὀρθὸν λόγον εἰρῆσθαι.
Θεαίτητος δεῖ γὰρ οὖν.
Ξένος τὸ δέ γε τοιοῦτον ἐκ πολλῶν μερῶν ὂν οὐ συμφωνήσει τῷ ὅλῳ λόγῳ.
Θεαίτητος μανθάνω.
Ξένος πότερον δὴ πάθος ἔχον τὸ ὂν τοῦ ἑνὸς οὕτως ἕν τε ἔσται καὶ ὅλον, ἢ παντάπασι μὴ λέγωμεν ὅλον εἶναι τὸ ὄν;
Θεαίτητος χαλεπὴν προβέβληκας αἵρεσιν.
Ξένος ἀληθέστατα μέντοι λέγεις. πεπονθός τε γὰρ τὸ ὂν ἓν εἶναί πως οὐ ταὐτὸν ὂν τῷ ἑνὶ φανεῖται, καὶ πλέονα δὴ τὰ πάντα ἑνὸς ἔσται.
Θεαίτητος ναί.
Ξένος καὶ μὴν ἐάν γε τὸ ὂν ᾖ μὴ ὅλον διὰ τὸ πεπονθέναι τὸ ὑπ᾽ ἐκείνου πάθος, ᾖ δὲ αὐτὸ τὸ ὅλον, ἐνδεὲς τὸ ὂν ἑαυτοῦ συμβαίνει.
Θεαίτητος πάνυ γε.
Ξένος καὶ κατὰ τοῦτον δὴ τὸν λόγον ἑαυτοῦ στερόμενον οὐκ ὂν ἔσται τὸ ὄν.
Θεαίτητος οὕτως.
Ξένος καὶ ἑνός γε αὖ πλείω τὰ πάντα γίγνεται, τοῦ τε ὄντος καὶ τοῦ ὅλου χωρὶς ἰδίαν ἑκατέρου φύσιν εἰληφότος.
Θεαίτητος ναί.
Ξένος μὴ ὄντος δέ γε τὸ παράπαν τοῦ ὅλου, ταὐτά τε ταῦτα ὑπάρχει τῷ ὄντι, καὶ πρὸς τῷ μὴ εἶναι μηδ᾽ ἂν γενέσθαι ποτὲ ὄν.
Θεαίτητος τί δή;
Ξένος τὸ γενόμενον ἀεὶ γέγονεν ὅλον: ὥστε οὔτε οὐσίαν οὔτε γένεσιν ὡς οὖσαν δεῖ προσαγορεύειν τὸ ἓν ἢ τὸ ὅλον ἐν τοῖς οὖσι μὴ τιθέντα.
Θεαίτητος παντάπασιν ἔοικε ταῦθ᾽ οὕτως ἔχειν.
Ξένος καὶ μὴν οὐδ᾽ ὁποσονοῦν τι δεῖ τὸ μὴ ὅλον εἶναι: ποσόν τι γὰρ ὄν, ὁπόσον ἂν ᾖ, τοσοῦτον ὅλον ἀναγκαῖον αὐτὸ εἶναι.
Θεαίτητος κομιδῇ γε.
Ξένος καὶ τοίνυν ἄλλα μυρία ἀπεράντους ἀπορίας ἕκαστον εἰληφὸς φανεῖται τῷ τὸ ὂν εἴτε δύο τινὲ εἴτε ἓν μόνον εἶναι λέγοντι.
Θεαίτητος δηλοῖ σχεδὸν καὶ τὰ νῦν ὑποφαίνοντα: συνάπτεται γὰρ ἕτερον ἐξ ἄλλου, μείζω καὶ χαλεπωτέραν φέρον περὶ τῶν ἔμπροσθεν ἀεὶ ῥηθέντων πλάνην.
要約
- 一元論者によれば,全体 (ὅλον) は〈あるもの〉という一つのものと同じである.ゆえに,〈あるもの〉は中心や端を持ち (DK 8.45-47),それゆえ部分を持つが,その上で一つのものの状態にある.
- だが,本当に一つであるものは,部分を持たないはずである.
- ジレンマ: (1)〈あるもの〉は一つであるという状態を持つことで一つ・全体であるのか,(2) そもそも全体ではないのか.
- の場合:
- 〈あるもの〉= 万物 (πᾶν) は一そのものではないため,一つより多くのものである.
- また,全体ではないのに全体そのものであるなら,〈あるもの〉は自分自身を欠き,〈ありはしないもの〉になる.
- 〈あるもの〉と〈全体〉が別の本性を持つことになる.
- の場合:
- 全体がありはしないなら,〈あるもの〉も・〈ありはしないもの〉も・〈あるもの〉になることもありはしない.
- ある量のものは全体をなすので,全体でないものはどんな量でもありはしない.
- の場合:
先行研究
- πᾶν / ὅλον の区別につき cf. Tht. 204, πάθος の用法につき cf. Parm. 147 (Campbell).