池尾和人 (2010)『現代の金融入門』

この頃はほとんど本が読めないのだけど,まあ研究文献ばかり読んでいるのは明らかに精神衛生によくないので.

金融論の入門書.新書だが教科書寄りの書き方になっており結構骨があった.金融取引とは何かの解説 (第1章) に始まり,銀行の役割 (第2章),中央銀行の役割 (第3章),資産価格の決定とバブル発生・持続のメカニズム (第4章),日本の企業統治とメインバンクの役割 (第5章),デリバティブ証券化といった近年の金融機能の分解・高度化 (第6章),金融規制監督の具体的方策 (第7章) が取り上げられる.サブプライム問題に端を発する世界恐慌の余燼が燻るころに書かれたもので,特に後半ではその事例を踏まえた議論もなされている.