『魂について』II.4 #1 栄養摂取能力の説明

DA II.4 415a14-b22.


[415a14] これらのことについての考察をなそうと望む者は,これらの各々が〈何であるか〉を把握し,それから,引き続く事柄や,他の事柄について探求する必要がある.これらの各々が何であるかということ,例えば思考能力や感覚能力,栄養摂取能力とは何であるかということ,を述べるべきであるなら,それに先立ってさらに,〈知性認識する〉とは何であるか,〈感覚する〉とは何であるかを述べなければならない.というのも,現実活動態すなわち行為は,説明規定に即して,可能態より先であるから.そうであるとして,さらにこれらより先に,対置されるものどもが観照されるべきだから,同一の原因ゆえに,まずこれらについて,すなわち栄養や感覚されうるものや知性認識されうるものについて,規定されるべきであろう.

[415a22] したがって最初に,栄養と生殖について述べねばならない.というのも,栄養摂取しうる魂は他の生物にも帰属しており,魂の第一の,最も共通な能力であって,それに基づいて全生物に生きることが帰属するからである.この能力の活動が,生殖すること,および栄養を利用することである.生物にとって,諸活動のうち最も自然的であるのは−−完全であり,欠陥があるとか,あるいは生成が自発的であるのでない限りのものについては−−,自分のような他のものを作ること−−動物が動物を,植物が植物をつくることだからであって,それはあたう限り永遠なものや神的なものに与らんがためである.というのも,全ての生物はそれを希求しており,自然に即して行動する場合には,それのために行動するから.〈それのために〉は二通りあり,一方は「それの」,他方は「それにとって」である.それゆえ,可死のものどもの何ものも数的に一個同一のものにとどまることはできないゆえに,永遠なもの,すなわち神的なものに継続的に与ることは不可能であるから,各々が与りうる限りのしかたで与るのである−−あるものは多く,あるものは少なく.そして自分自身ではないが自分のようなものが持続するのであり,数的には一つではないが,種的には一つである.

[415b8] 魂は生きる身体の原因であり原理であるが,これら〔原因・原理〕は多くの仕方で語られる.同様に,魂は定義の仕方に応じて三つの原因となる.というのも,魂は運動がそこから運動があるところであり,〈それのために〉であり,また魂をもつ身体の本質存在として,魂は原因であるから.さて,本質存在として〔原因である〕ということは明らかである.というのも,本質存在とは万物にとって,その〈あること〉の原因であり,生きることは動物にとっての〈あること〉であって,魂はその原因であり原理であるから.さらに,完成態は可能的にあるものの説明規定である.

[415b15] 魂が〈それのために〉という点での原因であることも明らかである.というのも,ちょうど知性が何かのためにはたらくように,自然も同じ仕方ではたらくのであり,これが自然の目的である.生物の場合には魂がそうしたものであり,それは自然に適っている.というのも,全ての自然的な物体は魂の道具であり,動物の身体がそうであるのと同様に,植物の身体もそうである.すなわち,魂のためにあるのだ.〈それのために〉は二通りにある,すなわち「それの」と「それにとって」である.

要約

  • 研究の優先順位: (1) 対置されるもの (活動の相関者) の観照 → (2) 活動の〈何であるか〉の把握 → (3) 諸能力の〈何であるか〉の把握 → (4) その他のことの把握.
    • (2) → (3): 現実活動態の説明規定は可能態の説明規定に先立つ.
    • (1) → (2) の原因も同じ.
  • まず栄養・生殖について述べる.
    • ∵ 栄養摂取能力は魂の第一の,〔全生物に〕最も共通な能力.
    • 生殖は (完全であり,自然発生しない生物の場合は) 最も自然的.
      • 生殖する理由: 永遠な・神的なものに与るため.
        • 可死的な生物は数的同一な個体を保ち続けられないため,自分と種的に同一なものの再生産を通じて,永遠なものに与りつづける.
  • 魂は三つの意味で,生きる身体の原因である: (I) 始動因,(II) 目的因,(III) 本質存在 (〈あること〉の原因).
    • (III): 生きることは動物の〈あること〉.魂は生きることの原因・原理.
  • (II): 自然的身体は魂の道具.

先行研究

  • S.: 〈それのために〉の二義に関する二箇所の言及は,どちらも読めるが,どちらも interpolation でありうる.Finis cuiusfinis cui の区別は中世哲学における commonplace.
  • S.: 415b18-27 - cf. GC I.5 (形相と目的因の同一視), 415b15-21 - cf. Met. Z17.