北杜夫『どくとるマンボウ航海記』

1960年刊行.58-9年に船医として調査船に乗り込みユーラシア大陸を周遊したことを記したエッセイ.大半がほら話とやや乱暴な冗談で構成されていて,あげく「われ信ず,荒唐無稽なるがゆえに」と締め括るなど,どこまでも人を食っている.あとは当時の各地の習俗の知識やその他よくわからない雑学だけがどんどん深まる仕掛けになっている.さしずめ60年前の達筆な旅行ブログといった趣がある.