『メタフュシカ』Z4 #3 定義・本質のカテゴリー的多様性
Metaph. Z4 1030a27ff.
[1030a27] さて,各々の事柄をめぐってどのように語るべきかを探究すべきだが,しかし少なくとも,どうあるかということよりいっそう探究すべきであるわけではない.それゆえ,実際にも−−語られる事柄は明らかであり,本質は,〔〈何であるか〉と〕同様にして,第一に,かつ端的に,実体に帰属し,次いで他のものどもに帰属するのであろうから−−〈何であるか〉もそうであるように,〔他のものどもには〕端的な仕方で本質があるのではなく,量ないしは質の点で本質があるのである.というのも,これらは,同名異義的にか,または,ちょうど「知りえないものが〔知りえないと〕知りうるものである」ように,付加ないし除去することで,〈あるもの〉であると主張すべきであるから.なぜなら,同名異義的にあると主張することも,一様にあると主張することも,正しくないのであって,むしろ,ちょうど〈医療的〉が,一個同一の事柄に関係することによって,一個同一であるわけでもなく,しかし同名異義的であるのでもないのと同様であるからだ.というのも,医療的身体 (医療を受ける身体) も医療的はたらきも医療器具も,同名異義的にでも一つの事柄に即してでもなく,むしろ一つのものに関係して語られるから.しかしこれらをどちらの仕方で語ろうとするのでも,何ら違いはない.他方であのこと,すなわち諸実体に第一にかつ端的に定義と本質があるということ,は明らかである.しかしながら,第一にでないということを除けば,他のものどもにも〔定義と本質は〕同様にある.というのも,このことを我々が措定するとしても,説明規定と同一の事柄を意味表示するような事柄の定義があるということは必然ではない.しかし或る説明規定と〔同一の事柄を意味表示する事柄の定義はある〕.一つのものに〔説明規定が〕あるときこれが〔成り立つ〕−−『イリアス』や結合によって〔一つである〕限りのものどものように連続によってではなく,語られる限りの仕方で〈一〉であるときである.〈一〉は〈あるもの〉と同様の仕方である.〈あるもの〉は一つには〈或るこれ〉,一つには量,一つには或る質を意味表示する.それゆえ,白い人にも説明規定と定義があるだろう.しかし白いものや実体とは別の仕方であるのだ.
要約
- 「どのように語るべきか」(言語レベル) 以上に「どうあるか」(実在レベル) を探究すべき.
- 言語レベルでは,本質は第一に・端的に実体に帰属し,付随的に他のカテゴリーに帰属する.
- したがって,実在レベルでも,実体には端的に定義と本質があり,他のカテゴリーには端的でない仕方である.
- 他のカテゴリーは帰一的に〈あるもの〉だから.(cf.「医療的」.同名異義的 / 一つの事柄に即して,ではない.)
- 説明規定と名辞が同一の事柄を意味表示するとき,説明規定が一つのものにあるなら,その定義がある.
- したがって,白い人の定義はあるが,〈白い〉や〈人〉(実体) とは別の仕方である.
内容
4章全然わからない.Ross しか見ないで読むのに限界を感じる.やっぱり Frede & Patzig 借りてこようか.
- R.: 1030a12. "Since unity in some sense can be found in any of the categories, 'white man' (which is a union from two categories) has a certain unity and can have a definition ..." (よく分からない.)
- R.: 本章では結局冒頭の whether essence is substance の問いには答えず,it is substances alone that in the primary sense have essence と述べるのみである.ただ,これが足掛かりになるのかもしれない.