Thuc. 1.1. Cameron の学習者向けの文法的注解と Hornblower の注解,および小西晴雄訳を見ながら読む。単なるギリシア語学習のつもりだったが,Hornblower が結構おもしろいので,トゥキュディデス自体を学ぶつもりで読んでもいいかもしれない。
アテナイ人トゥキュディデスが,ペロポネソス人達とアテナイ人達の戦争を,どのようにして彼らが互いと戦ったのかを記した。戦争が起きるや直ちに筆を起こしたのであり,かつて生じたどの戦争よりも大きく,かつこの上なく語るに値するものになるだろうと見込んだのだ。その証拠としたのは,両者が戦争へのあらゆる備えの点で頂点に達したことであり,また他のギリシア人がどちらかの勢力と同盟したのを−−ある人々は直ちに同盟し,他の人々はそうすることを考えていたのだが−−見てのことだった。すなわち,この変動はギリシア人達と異民族の一部にとって最大のものとなったのであり,いわば殆どの人々にとっても最大のものとなったのである。それというのも,それらの戦争より前の事実や,さらに昔の事実を明瞭なしかたで見出すことは,過ぎ去った年月の長さゆえに不可能であったけれども,その一方で,きわめて遠い昔まで私が探求して信じることとなった数々の証拠から,これより大規模な出来事は,戦争に関しても,他の出来事についても生じなかったと考えているからである。
Θουκυδίδης Ἀθηναῖος ξυνέγραψε τὸν πόλεμον τῶν Πελοποννησίων καὶ Ἀθηναίων, ὡς ἐπολέμησαν πρὸς ἀλλήλους, ἀρξάμενος εὐθὺς καθισταμένου καὶ ἐλπίσας μέγαν τε ἔσεσθαι καὶ ἀξιολογώτατον τῶν προγεγενημένων, τεκμαιρόμενος ὅτι ἀκμάζοντές τε ᾖσαν ἐς αὐτὸν ἀμφότεροι παρασκευῇ τῇ πάσῃ καὶ τὸ ἄλλο Ἑλληνικὸν ὁρῶν ξυνιστάμενον πρὸς ἑκατέρους, τὸ μὲν εὐθύς, τὸ δὲ καὶ διανοούμενον. κίνησις γὰρ αὕτη μεγίστη δὴ τοῖς Ἕλλησιν ἐγένετο καὶ μέρει τινὶ τῶν βαρβάρων, ὡς δὲ εἰπεῖν καὶ ἐπὶ πλεῖστον ἀνθρώπων. τὰ γὰρ πρὸ αὐτῶν καὶ τὰ ἔτι παλαίτερα σαφῶς μὲν εὑρεῖν διὰ χρόνου πλῆθος ἀδύνατα ἦν, ἐκ δὲ τεκμηρίων ὧν ἐπὶ μακρότατον σκοποῦντί μοι πιστεῦσαι ξυμβαίνει οὐ μεγάλα νομίζω γενέσθαι οὔτε κατὰ τοὺς πολέμους οὔτε ἐς τὰ ἄλλα.
Hornblower はつぎのような事柄を取り上げている:
- 'Θουκυδίδης Ἀθηναῖος' という導入が (i) 三人称であり (ii) 「ハリムース区の」「オロロスの子」ではなく「アテーナイの」としていること。
- 三語目に ξυνέγραψε と書き ἱστορία だと述べない (Hdt. 的伝統に対する) avoidance of pretentiousness (≠ diffidence). 語 ἱστορία はアリストテレスに至るまで technical ではないこと。
- ἀξιολογώτατον という極めて論争的な主張 (Lloyd 1978 は 'agonistic' な修辞慣習が医学著作や所謂 'historiography' に波及したことを示している)。
- 'σαφῶς μὲν εὑρεῖν διὰ χρόνου πλῆθος ἀδύνατα ἦν': Th.'s self-conscious discussion of the methods の最初の事例。