『ティマイオス』31b4-32c3 幾何級数的な諸元素の措定

Tim. 31b4-32c3.


[31b4] 実際,生成するものは物体的であり,見たり触れたりできるものでなければなりませんが,火から切り離されると何ものも決して可視ではありえませんし,何か固いものがなければ触れうるものではありえず,固いものは土を欠きはしません。そしてそのために,万有の身体を構築し始めたときに,神は火と土とから作っていったのです。二つのもののみを立派に組み合わせることは,第三のものなしには不可能です。というのも,間に立って両者を一まとまりにする何らかの絆が生成する必要があるからです。絆のうち最も立派なものは,絆それ自体を,互いに結びつくものどもともできる限り一つにするようなものであり,比例が,それを最も立派に完遂する本性を有しています。というのも,三つの数であれ,集塊・三乗であれ,何らかの力・二乗であれ,そのうちに中間項があるときには,初項が中間項に対して,中間項が末項に対してあり,そして今度は反対に,末項が中間項に対して,中間項が初項に対してあるのですから,そのとき中間項は初項と末項になり,その一方で末項と初項は両方の中間項になるのであって,このようにして全ては必然的に同一であることが帰結するでしょうし,同一のものが互いによって生成しつつ一つの全体であることになるでしょう。さて,仮に,表面的であって深さを有さないものに万有の身体がなるべきであるなら,その中項自身と共にあるものどもと,中項自体とを結び付けるのには,一つの中項で十分だったでしょうが,実際には宇宙は立体的であることがふさわしいのであって,立体に関しては,決して一つではなくむしろつねに二つの中項が,共に調和するのです。事実このようにして,火と土の間に水や空気を神は立て,互いに対して可能な限り同一の比率で完成させたのであり––つまり,まさに火が空気に対してある仕方で,この空気は水に対してあり,また空気が水に対してある仕方で,水は土に対してあるのです––,そうして,見たり触れたりできる天界を,組み立て,構築したのです。そして以上のことどものゆえに,このような,数にして四つのものどもから,宇宙の身体が,比例によって一致しつつ生み出されたのであり,またこれらから友愛を得たのであって,その結果,同一のものへと自分自身と結合して,結び付けたもの以外の何ものによっても解きえないものになったのです。

要約

物体の要素を探求する。

  • 物体が可視・可触であるために,火・土が必要。
  • 絆となる第三のものが必要。
    • かつ,絆は結合対象となるべく一体化することが望ましい。
      • これを実現するのは (幾何学的) 比例である。
    • 宇宙は立体であるべきなので,中間項は2つ必要である。
      • それゆえ神は,(冒頭の二元素である) 火と土の間に,(中間項として) 水と空気を立てた。

訳注

  • Cornford は,Heath が指摘する「プラトンがここでも πυθαγορίζει している」可能性を真剣に探求しており,以上の訳文もこれを容れて一部反映した。個人的にはあまり拘りはないけれど。