『自然学』II 3 #2 言語表現に基づく原因分類

Phys. II 3 195a26-b30.


[195a26] さて,諸原因は種の点ではこれらのもの,これだけの数のものである一方,諸原因の方式は,数の点では数多くあるが,それらもまとめるとより少なくなる。つまり,原因は多様に語られ,同種の諸原因のうちあるものは他のものより先,またはより後に語られるのである。例えば医者と技術者が健康の〔原因であると語られ〕,二倍と数がオクターヴの〔原因であると語られるのであり〕,またつねに,包括的な事柄が個別的な事柄に加えて〔原因であると語られるのだ〕。

[195a32] さらに,〔原因は〕付帯する事柄,すなわちそれら諸原因の類として語られる。例えば鋳像の〔原因は〕或る仕方ではポリュクレイトスであり,或る仕方では鋳像製作者である。なぜなら,ポリュクレイトスにとっての〈あること〉が,鋳像製作者に付帯しているからである。そして包括的な事柄は付帯するものである。例えば,人間や総じて動物が鋳像の〔原因〕であるとすれば〔そうであるように〕。付帯的な事柄のうちでも,或るものどもは他のものどもよりも遠く,あるいはより近い。例えば色白い人と教養ある人が鋳像の原因であると語られるように。全ての親近的に語られるものも付帯的に語られるものも,一方は可能的なものとして語られ,他方は実現的なものとして語られる。例えば家が建造されることの原因は建築家であるか,あるいは,建造している建築家である。諸原因がそれらにとっての諸原因であるところのものも,上述のことどもと同様の仕方で語られるだろう。例えばこの鋳像の〔原因〕は,鋳像の,あるいは総じて像の〔原因〕であり,この青銅の〔結果〕は,青銅の,あるいは総じて質料の〔結果〕である。付帯する事柄についても同様である。

[195b10] さらに,前者も後者も,連結されたものとして語られるだろう。例えばポリュクレイトスでも鋳像製作者でもなく,鋳像製作者ポリュクレイトスであると語られる。

[195b12] 同様にして,これら全ては数量の点では六つだが,語られる仕方は二通りである。というのも,個別的なものとしてか,類としてか,付帯的なものとしてか,付帯的なものの類としてか,これらが連結したものとしてか,端的に語られるものとしてか,であるから。全てのものは実現しているものであるか,可能的なものであるかである。実現している事柄,すなわち個別的な事柄は,それらの事柄が原因になっているものとも,あることやありはしないことが同時であって,例えば治療しているこの人は健康にされる人と同時であり,建造しているこの人は建造されているものと同時であるが,可能的にはいつも同じであるわけではない。というのも,家と建築家は同時に消滅するわけではないから。

[195b21] 各々のものの最上位の原因をつねに探求すべきである,ちょうど他のものどもにおいてもそうであるように(例えば人間が建造するのは建築家であるからであり,建築家は建築術に即してある。するとこれがより先にある原因であり,全ての事柄についてこのようである。)さらに,類は類の〔原因〕であり,個別的な事柄は個別的な事柄の〔原因〕である(例えば鋳像製作者は鋳像の〔原因であり〕,この〔鋳像製作者は〕この〔鋳像の原因である〕)。つまり,可能態は可能的な事柄の,実現的な事柄は実現される事柄の〔原因である〕。さて,諸原因と,諸原因がある仕方を,我々は充分に規定したものとしよう。

要約

  • 原因は εἴδει には4つだが,(語られ方に即した) 別の分類もありうる。
    1. 包括的な事柄 / 個別的な事柄。
      • この区別は〈可能的な事柄 / 実現的な事柄〉とも重なる。
        • 実現的な事柄は原因と結果が同時にあり・あらぬ。可能的な事柄はそうとは限らない。
      • 原因の結果も同様に区別できる。
    2. 付帯する事柄 / 親近的に語られる事柄。
      • これは 1. と合わせて四象限をなす。
    3. (複合表現として) 連結する事柄 / (単純表現として) 端的に語られる事柄。
  • 「最上位の」(最も先行する) 原因を探求する必要がある。

文献注

  • R: 〈包括的/個別的〉の区別は〈可能的/実現的〉の区別と厳密には一致しない;「この建築家」と「この建造している人」は異なる。