2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

アリストテレスにおける「変化の原理」と生成の可能性 Broadie (1982) Nature, Change and Agency #1

Sarah Waterlow (1982) Nature, Change and Agency in Aristotle's Physics: A Philosophical Study. Clarendon Press. Ch.1: Nature as Inner Principle of Change. 1-47. [うち 1-22, 46-47.] アリストテレスの変化論を扱った S. Waterlow (Broadie) の研…

『生成消滅論』I 3 #4 議論の総括,残る問いの解決と新たな難問提起

GC I 3 319a17-b5. 3章ここまで。

『生成消滅論』I 3 #3 生成と消滅の同一性 (cont.),端的な/何らかの生成の区別

GC 318b18-a17. 全部読んでしまっても良かったけど,きょうは少し別のことを優先する。

『生成消滅論』I 3 #2 生成の継続性,および生成と消滅の同一性の説明

GC I 3 318a13-b18. このペースだと4回になるかもしれない。電子データを見ていたので気付かなかったけれど Joachim は注解付きだった。以後こちらも内容注に反映する。

『自然学』I の議論は混乱している Bostock (1982) "Aristotle on the Principles of Change"

David Bostock (1982) "Aristotle on the Principles of Change in Physics I" Malcolm Schofield, Martha Nussbaum (eds.) Language and Logos. Cambridge University Press. 179-196. 特に節立てされていないが,便宜上見出しをつけた。最後の部分について…

『生成消滅論』I 3 #1 端的な生成に係る諸問題

GC I 3 317a32-318a13. Phys. I (特に I 8) との連動に関心を持ったので,GC I 3 を3回くらいに分けて読むことにした。テクストは Joachim を用い,注解は Williams*1 を参照する。Symp. Arist. の Algra 論文*2は一度原文を通読してから読みたい。 *1:C. J.…

『自然学』I 7 前半部は専らアポリアー解消を目的とする Kelsey (2008) “The Place of I 7”

Sean Kelsey (2008) "The Place of I 7 in the Arguments of Physics I" Phronesis 53, 180-208. I 7 前半部の役割は I 5-6 におけるアポリアーの解消にすぎない、という deflationary な説明を提示する論文。当該箇所の論述を単一のテーゼに代表させ、その…

『自然学』II 2 #1 自然学と数学の相違点

Phys. II 2, 193b22-194a12. Phys. II 1 についてハイデガーの論文があるというので見てみたが*1,なんらテクスト理解に資する文章ではなかった。 *1:「ピュシスの本質と概念とについて。アリストテレス,自然学 B, 1」『ハイデッガー全集 第9巻 道標』創文…

『自然学』II 1 #2 質料としての自然・形相としての自然

Phys. II 1, 193a9-b21.

『自然学』II 1 #1 運動の原理としての自然

Phys. II 1, 192b8-193a9. 一章前半部。 Ross, Charlton のほかに Couloubaritsis の注解*1を参照する。Wagner の注解も見ておくとよいのかもしれないが現在手元にない。 *1:Lambros Couloubaritsis (1991) Sur la Nature (Physique II). Paris: Vrin.

『自然学』A9 プラトン主義批判

Phys. A9. Symp. Arist. の担当者は Broadie, Quarantotto 本は Lennox. Broadie は注釈と別立てで A9 のプラトン的背景と (論点先取を正当化する) 対話的文脈,および永遠的運動に関する議論をしているが (pp.314-340),ここではさしあたり省略する。Lennox…

〈として対象〉の理論 Fine (1982) “Acts, Events and Things”

Kit Fine (1982) "Acts, Events and Things" W. Leinfellner, E. Kraemer, and J. Schank (eds.), Sprache und Ontologie. Wien: Hoelder-Pichler-Tempsky. 「そもそも ᾗ/qua って何?」ということを考える手がかりになるかと思ったが,少なくともプラトンや…

『後書』におけるメノンのパラドクスの解決 Bronstein (2016) Aristotle on Knowledge and Learning #1

David Bronstein (2016) Aristotle on Knowledge and Learning. Oxford University Press, 11-27. Ch.1. Meno's Paradox and the Prior Knowledge Requirement. Bronstein (2010) OSAP 38: 115-41 がもとになっている。まだパラドクスの箇所を自分でしっかり…

プラトンにおける語 'τραγικός' の意味 Bluck (1961) "On ΤΡΑΓΙΚΗ"

R. S. Bluck (1961) "On ΤΡΑΓΙΚΗ: Plato, Meno 76e" Mnemosyne 14(4): 289-95. 『メノン』76E における語 'τραγικὴ' の意味に関する20世紀の新奇な諸解釈に反対して従来の解釈を擁護する*1。 *1:メモを取るほどのものでもなかった気もするし,やや現実逃避ぎ…

『自然学』A8 は実在解釈で読める Clarke (2015) "Aristotle and the Ancient Puzzle about Coming to Be"

Timothy Clarke (2015) "Aristotle and the Ancient Puzzle about Coming to Be" Oxford Studies in Ancient Philosophy 49:129-150. 本人も書いているようにかなり素直な (straightforward) 解釈をしている。ただ素直だから正しいというものでもないとは思…

『自然学』A8 の目標はジレンマの形式的解決である Anagnostopoulos (2013) "Aristotle's Parmenidean Dilemma"

Andreas Anagnostopoulos (2013) "Aristotle's Parmenidean Dilemma" Archiv für Geschichte der Philosophie 95(3): 245-274. 述定解釈を採る論文。文章は正直わかりにくいし解釈にもあまり説得されないが,事柄が考え抜かれている印象は受ける。B巻との接…

5-7月に読んだ本

5月 奥村隆 (2014)『社会学の歴史I: 社会という謎の系譜』有斐閣アルマ。 原武史 (2019)『平成の終焉』岩波新書。 山内志朗 (2003)『ライプニッツ: なぜ私は世界にひとりしかいないのか』NHK出版。 日本歴史学会 (2019)『日本歴史』第853号。 G. W. ライプニ…