2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

渡辺訳『テアイテトス』

プラトン『テアイテトス』渡辺邦夫訳,光文社古典新訳文庫,2019年。 講談社学術文庫版ちくま学芸文庫版を改訂した新訳。このレーベルの他のギリシア哲学の作品同様,本書にも初学者向けの長めの解説が付されており (350-479頁),その注では現代の研究状況に…

笙野頼子『笙野頼子三冠小説集』

笙野頼子『笙野頼子三冠小説集』河出文庫,2007年。 「タイムスリップ・コンビナート」「二百回忌」「なにもしてない」の三作を収める。旧作を文庫で出すために文学賞受賞作だけをまとめたのだという。著者の作品を読むのは『極楽・大祭・皇帝』に続いて二冊…

マンシェット『眠りなき狙撃者』

ジャン=パトリック・マンシェット『眠りなき狙撃者』中条省平訳,河出文庫,2014年。 『愚者が出てくる,城寨が見える』から続けざまに読む。プロットの緻密さや映像の鮮明さに鑑みて,全体的な完成度はこちらの方が高いと思う。原題が予示する最後の一段落…

マンシェット『愚者が出てくる,城寨が見える』

マンシェット『愚者が出てくる,城寨が見える』中条省平訳,光文社古典新訳文庫,2009年。 6年前に梅田の紀伊國屋で「ほんのまくら」フェアというのをやっていて,そこで買った本だったと思う。買ったはいいが一ページ目から人間が惨殺されるのでついていけ…

ルーベンスタイン『中世の覚醒』

リチャード・E. ルーベンスタイン『中世の覚醒: アリストテレス再発見から知の革命へ』小沢千重子訳,ちくま学芸文庫,2018年。 アリストテレスのインパクトを中心にすえながら,中世を通じた理性と信仰をめぐる様々なイデオロギーの角逐を描いている。哲学…

ブルケルト『ギリシャの神話と儀礼』

ヴァルター・ブルケルト (1985)『ギリシャの神話と儀礼』橋本隆夫訳,リブロポート。[Walter Burkert (1979) Structure and History in Greek Mythology and Ritual. University of California Press.]

桑子敏雄『エネルゲイア』

桑子敏雄『エネルゲイア』東京大学出版会,1993年。 「エネルゲイア」概念を中心に置いてアリストテレス哲学の様々な領域を論じる論文集。第一部「古代アテネの思想空間と「エネルゲイア」の概念」はアリストテレスがエネルゲイア概念を導入するコンテクスト…

モミリアーノ『伝記文学の誕生』

A. モミリアーノ (1982)『伝記文学の誕生』柳沼重剛訳,東海大学出版会。[Arnaldo Momigliano (1971) The Development of Greek Biography, Harvard University Press.] 古代ギリシアにおける伝記の誕生と発展をテーマにした講義録。前5世紀に伝記・自伝の起…