『自然学』A4 #3 アナクサゴラス批判の続き

Phys. 188a2-18. 4章終わり。

[188a2] さらに,無限な物体のうちにすでに無限な肉や血や脳が内属しているが,しかし互いから分離されてお<らず>,それでもやはり存在して,各々は無限であるのかもしれない。だが,これは不合理である。

[188a5] 決して分離されないということは〔アナクサゴラスによって〕理解した上で語られているのではないが,しかし正しく語られている。というのも,諸属性は離れてあることが不可能だから。したがって,諸々の色や状態が混ざっているとき,諸状態が分離されたなら,何らかの白や何らかの健康があるだろう――それは他の何ものでもなく,基礎に置かれるものについて〔語られるの〕でもないだろう。したがって〔アナクサゴラスの所謂〕「知性」は奇妙である,不可能なことを追求しているのだから――もし知性が,一方で分離しようとしており,他方でそうすることが量についても質についても不可能であるのなら。量については,最小の大きさは存在しないために,質については,諸属性は離れてあることが不可能であるがゆえに,不可能なのである。

[188a13]〔アナクサゴラスは〕形相を同じくするものの生成も正しく捉えていない。というのも,粘土がいくつかの粘土へと分割されるような生成もあるが,そうでない生成もあるから。そして,煉瓦が家から生じ,家から煉瓦が生じる仕方と,水と空気とが互いから存在し生成する仕方は,同一の仕方ではないのである。

[188a17]〔原理は〕より少なく限られていると考えるほうが,よりよい。ちょうどエンペドクレスがそうしているように。

訳注

'οὐδὲ καθ' ὑποκειμένου' (a8-9) に 'λεγόμενον' を補って訳したが,そのまま 'ὄν' で良いのかもしれない。今後の文例を見ないと分からない。

要約

  • 5つ目の批判: 物体が無限だと仮定すると,無限な要素が無限に混ざり合っていることになり,不条理。
  • 「属性は分離不可能」という点ではアナクサゴラスは偶々正しい。
  • 6つ目の批判: 均質なものの生成にも単純な蓄積とそうでない (端的な) 生成の二通りがある。
  • むしろ,より少ない,有限個の原理を想定すべきである。

内容注

  • 5つ目の批判は2つ目の批判の前提を廃棄した場合について考えられている。'But this is nonsense, since it means that the infinite is multiplied infinitely many times' (Cerami, 122). ἄλογον であることの理由づけとして,これは Ross 解釈 (486) より良いと思う。
  • 第3段落が何を述べているのかよく分からない (さしあたり上記の通り理解した)。
  • 最終段落の指針は 'the ancestor of Occam's razor' (Ross, 487).