松村一男『神話学入門』

『神話学講義』(角川書店,1999年) の文庫版。神話学の学説史。ミュラーフレイザーデュメジルレヴィ=ストロースエリアーデ,キャンベルの6人を中心に論じる。大学の講義を元にしたものらしく,叙述は平明。第一章が全体の簡便な梗概になっているので,大雑把に内容を知りたい場合はここを読めば良い。なお「学術文庫版あとがき」では,本書で概観された範囲以後の動きとして,ブルケルトジラールの研究,およびヴィツェル,ベリョーツキンの「世界神話学」が挙げられている。個人的には古典学の枠内で何となく知っていた人々 (Cornford や Murray) の神話学史的な位置付けが少し分かったのが収穫だった (第4章)。