2019-03-31から1日間の記事一覧

渡辺訳『テアイテトス』

プラトン『テアイテトス』渡辺邦夫訳,光文社古典新訳文庫,2019年。 講談社学術文庫版ちくま学芸文庫版を改訂した新訳。このレーベルの他のギリシア哲学の作品同様,本書にも初学者向けの長めの解説が付されており (350-479頁),その注では現代の研究状況に…

笙野頼子『笙野頼子三冠小説集』

笙野頼子『笙野頼子三冠小説集』河出文庫,2007年。 「タイムスリップ・コンビナート」「二百回忌」「なにもしてない」の三作を収める。旧作を文庫で出すために文学賞受賞作だけをまとめたのだという。著者の作品を読むのは『極楽・大祭・皇帝』に続いて二冊…

マンシェット『眠りなき狙撃者』

ジャン=パトリック・マンシェット『眠りなき狙撃者』中条省平訳,河出文庫,2014年。 『愚者が出てくる,城寨が見える』から続けざまに読む。プロットの緻密さや映像の鮮明さに鑑みて,全体的な完成度はこちらの方が高いと思う。原題が予示する最後の一段落…

マンシェット『愚者が出てくる,城寨が見える』

マンシェット『愚者が出てくる,城寨が見える』中条省平訳,光文社古典新訳文庫,2009年。 6年前に梅田の紀伊國屋で「ほんのまくら」フェアというのをやっていて,そこで買った本だったと思う。買ったはいいが一ページ目から人間が惨殺されるのでついていけ…