学問間の下属関係 McKirahan, Principles and Proofs #5
- McKirahan, Richard D. Principles and Proofs: Aristotle's Theory of Demostrative Science. Princeton: Princeton University Press. 64-67.
本章では以下の箇所が検討される: A7 75a38-b20, A13 79a4-6. ごく短い章。
『オプティカ』を根拠に Ar. の下属関係 (subordination) の理論を解明している。この引証は適切と思われるし,説明も概ねよく分かる。また共通原理の理論との関係如何という問題は (近代数学の例は措くとしても) 確かにあるだろう。
続きを読む〈基礎に置かれる類〉の意義,要素,および想定根拠 McKirahan, Principles and Proofs #4
- McKirahan, Richard D. Principles and Proofs: Aristotle's Theory of Demostrative Science. Princeton: Princeton University Press. 50-63.
本章では以下の箇所が検討される: A7 75a38-b20, A9 76a16-23, A32 88a31-88b29.
続きを読む『後書』の定義と基礎措定の概念 (I) Landor, "Definitions and Hypotheses"
- Landor, Blake (1981) "Definitions and Hypotheses in Posterior Analytics 72a19-25 and 76b35-77a4" Phronesis 26, 308-318.
『後書』A巻の基礎措定 (ὑπόθεσις) と定義 (ὅρος/ὁρισμός) の内容確定を目指す論考。
続きを読む今週読んだ本
『サンプリングって何だろう』
表題通りの啓蒙書。一章が統計学の基本,二章が社会調査,三章が生態調査を扱う。調査対象に固有の困難と対処のしかたについて述べられており面白い。二章では,負担を軽減しつつ一定の正確性を担保する層化多段抽出法という手続きが紹介され,また現在の社会調査の色々の困難についても論じられる。特にプライヴァシー意識の高まりにおそらく起因する回収率の低下が深刻であるむね述べられている。(2013年の「国民性調査」における回収率は50%で,調査不能理由の約60%が調査協力の拒否によるものであるという。) 三章では野生生物の個体数の調査が取り上げられるが,高校生物で習うリンカーン−ペテルセン推定量の有効性の幾つかの前提を洗い出し,それらが実際にはしばしば成り立たず各々対策を要するという話をしている。
『新しいヘーゲル』
「近代の哲学者ヘーゲル」という一貫した視角から一筆書きにヘーゲルを描き出す入門書。ただし当の近代像が図式的にすぎる憾みはある。ともあれリーダブルではあり,特に芸術論・宗教論と学問論の関係を示す第四章はなかなか明快。もとよりこれ一冊で OK という本ではないので,ここから色々読み進めたい。
アリストテレスの説明要因 (αἰτία) の理論 Moravcsik, "Aristotle on Adequate Explanations"
- Moravcsik, Julius M. E. (1974) "Aristotle on Adequate Explanations" Synthese 28, 3-17.
Ar. の αἰτία 論を「説明要因 (explanatory factor)」の理論と捉え,解釈の叩き台を提示している。ごく粗描的でテクスト解釈にも紙幅を割いていないのは恐らく発表媒体のゆえだろう。
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